こちら、なんでも屋でございます【3】
#4



―――私となつめさんの出会いをお話します。

私となつめさんは大学で知り合いました。
なつめさんは穏やかな性格で少し不思議な所もありましたが私は一瞬で恋に落ちました。
同じ学部でもあった私達が仲良くなるのはそう難しくはありませんでした。
お話も合い、次第に学校がお休みの日は会うようになりました。

そして、いつからでしょう。
私達は付き合いはじめ、お互いに必要な存在だと思い始めました。
しかし、私の両親が猛反対しました。
『あんな、だらしのない一般市民とのお付き合いは許しません』
そういわれた時はショックでショックで夜も眠れませんでした。
それをなつめさんに話したらどれだけ悲しむか…目に見えていました。

勇気を振り絞り私はなつめさんを呼び出しました。
なつめさんはいつもと同じ、黒いカラージーンズに白いシャツでした。
私を見つけた瞬間、なつめさんはニッコリ微笑みこちらに大きく手を振りながら近づいてきました。それを見た瞬間、別れを告げることを躊躇する心が現れたのです。


『あ、あの…なつめさん』


『ん?』


なつめさんの悲しい顔が思い浮かび思わず


『き、今日は…て、天気がとても優れていますよね…ッ』


心にもない事を言ってしまった。


『そうだね…こんなポカポカしてる日は日向ぼっこが一番だね』


怪しんでいる様子もない言葉。
心がズキッと痛くなり、『ごめんなさい』と口を開きかけたとき



『早苗さん』



なつめさんの表情が凛々しくなり思わずその言葉を飲み込んだ。



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