こちら、なんでも屋でございます【3】
「お母様!!出してください!!!お母様ッ!!!」
私は必死に固く閉ざされたドアを叩く。
「由梨!!!由梨!!!出して!!ここから出してッ!!!!!」
幾ら叫んでも応答の声は聞こえない。
私は今、真っ暗で何も見えない部屋に閉じ込められている。
電気をつけるスイッチもない、唯一わかるのは私が監禁されていること。
あの日、私と由梨は八神さんの美味しい夕ご飯を堪能していた。
その時、食卓に上がり込んできたのは二階堂家のモノ達。
黒いスーツに黒いサングラス。
二階堂家屈指のSP達だった。
そのモノ達は八神さんを殴り気絶させ、私達の口元にハンカチをあてがって眠らせた。
そして気が付くとこの暗闇の部屋にいた。
多分ここは二階堂家の地下。
由梨も私と同じように監禁されているのかと思うと震えが止まらない。
「どうして…ッ、どうしてなの……ッ。なんで、なんで好きな人と…結婚したいだけなのにッ」
瞳から零れる涙を今は誰も拭ってくれない。
一人
独り
ヒトリ
孤独が私の心を蝕んでいく。