こちら、なんでも屋でございます【3】
「だーかーら!!ココアにはハチミツなんだよ!!」
「何、言ってるんだい?レイン、それじゃあ糖分が高すぎるだろう?」
「しらん、ってかそんなこと綺羅には関係ない」
「関係あるさ、だって俺達婚約者だろう?」
「そ、そうだけど…」
「婚約者に死なれたらたまらないからね」
「死ぬわけないだろう?バカか?バカなのか?」
「レインが死んだら俺も後追いするからね?」
「そこまで来ると怖い」
「俺の執着心は世界最強さ♪」
「自信満々に言うことなのか?」
「ま、そういうことだから“ココアにハチミツ大さじ七杯”は禁止!」
「…綺羅なんか嫌いだ」
「えええ!?」
「もう、知らん。」
「ち、ちょ!!」
レインは綺羅を押しのけ事務所を出て行こうとした。
しかし、レインがドアノブに触れた瞬間、扉が勢いよく開いた。
「!?」
「れ、レイン!!」
「きゃあっ!!」
「うわっ!」
「え…、ど、どなたですか?」
「あ、あの…ッすみません!」
ドアの向こうに立っていたのはまさに“清楚系お嬢様”という言葉がピッタリな女性が立っていた。その傍らにもう一人のメイド服を着た女性も立っていた。
「こ、こちらは…“なんでも屋”で会っているのですか?」
「え、あ…ハイ」
「ご相談があって静岡から参りました。」
「え、あ…薄汚い所ですが…どうぞッ」
自分の事務所を薄汚い所というのはどうかと思うが、その言葉しか出てこなかったのだ。