こちら、なんでも屋でございます【3】
「あの…自己紹介を…」
「あ、スミマセン…私ったら…ッ。」
女性は透き通るような肌を薄い紅色に染めた。
緊張しているのか照れてるのか…
「私は、二階堂早苗【にかいどうさなえ】と申します…。静岡にあります少々大きい御屋敷で育ちました…ッ。そ、その…」
「あ、名前だけで結構ですよ?」
「そ、そうですよね!!で、この子は私の付き人をしている由梨です。」
「由梨です、よろしくお願いします」
「あ、ハイ…。あ、俺は八神綺羅と申します」
「私は、レインです」
レインはフードを取りお辞儀をした。
あ、心配は無用だ。レインは今カラコンをしているから普通の人間同様である。
「あ、の…人捜しをお願いしたいんですが…」
「人捜しですか?」
「ハイ…。私の…、婚約者です。名前は斎藤なつめさんです…。一か月前から御姿をお見受けしなくなってから…連絡も居場所も分からなくって…」
「早苗様…、私が説明をッ」
「お願い…ッ」
二階堂さんは大きな瞳に大粒の涙をためていた。
よほど大切な人なんだろう。
「なつめ様と早苗様は一か月前の今日、一緒に駆け落ちをする予定でした。しかし、駆け落ちの二日前に消息不明になってしまいました。そのせいで早苗様は明日お見合いを強いられてしまいました…今は一時家出中です」
由梨さんは淡々とこれまでの道筋を説明してくれた。
その表情は変わらず、目には光がない。
完全に諦めた顔である。