【BL】意地っ張りな恋人くん
こういうとこは可愛くない。
リビングに入り、気付いたことが一つ。
ダイニングテーブルに置かれたラップの掛けられている二人分の料理。
ん?これはもしかして……。
「……もしかしてお前、食わずに待ってたのか?」
「…………何だよ、文句でもあるのかよ?」
「いや、文句はねーけど…」
今23時半だぞ?
普通そこまで待つか?
「俺、飯食ってから寝る。酔っ払いはさっさと寝ろ。」
「ああ……って泊まっていく気か?」
「いいだろ、別に。明日土曜で大学休みだし、アンタも仕事休みじゃん。」
出海はダイニングの椅子に座り、料理に掛かっているラップを剥がし始める。
「……それ、全部作ったの?」
「だったら何だよ。」
色の濃い煮物、不格好なハンバーグ……
お世辞にも上手とは言えないけれど、料理をしている出海の顔が思い浮かぶ。
「………何だよ?」
ダイニングの椅子に向かい合う形で座った俺に、出海は怪訝な表情を見せた。
「実は飲んでばっかで、ろくなもの食べてないんだ。食ってもいいか?」
そう訊けば、出海はそっぽを向いた。
「……好きにすれば。」
横顔が少し赤い。
喜んでる……んだろうな。