【BL】意地っ張りな恋人くん


それはつい先日。


「アンタさ、ぶっちゃけ俺をどう思ってんの?」



何の脈略もない唐突な質問だった。


家が隣同士だったこともあって、幼い頃から出海は俺になついてた。

昔は素直で可愛くて、本当の弟のように可愛がっていた。


いつからあんなに曲がってしまったのやら……。


俺は社会人になって一人暮らしを始めた。
地元就職だったし、実家暮らしに文句があったわけでもないけれど、自立したいという心の現れだと思う。

実家から5駅離れた場所。
すぐに帰れる距離にある俺の家に、出海はちょくちょく顔を出していた。
特に追い返す理由もなく、むしろご飯も作る出海を迷惑だと思ったこともない。
幼い頃からの癖みたいなもんで、自分の空間に出海がいることに違和感がなかった。

だから気にも留めていなかった。

まさか、出海が俺を好きだったなんて。



「おい、聞いてんのか?」


出海の声で昔を懐かしんでいた俺は、現実に引き戻される。

背中は壁。
両脇に手をつかれ、身動きが取れない。
俺より身長の低い出海は、睨みながら見上げてくる。


「どう思ってるって言われてもな………」
「……嫌いか?」


嫌いだったら、こんな長い付き合いなんてしてられない。


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