【BL】意地っ張りな恋人くん
そこには数日ぶりに見る出海の姿。
隣には友人と思われる男もいる。
出海は話に夢中でこちらに気付いていない。
それにしても………
随分楽しそうじゃないか。
屈託なく笑う顔。
仲の良さが窺える。
あんな………
あんな風に………
「出海ー!おかえりー、ヒロくん来てるわよー!」
そう叫ぶ声に出海は反応して、俺の存在を視界に捕らえたようだ。
途端、さっきまでの笑顔は消え、如何にも嫌そうな表情を見せる。
そんなあからさまに嫌な顔しなくてもいいだろうが…。
出海は隣の男に耳打ちをすると、踵を返した。
「あら?どこに行くのかしら?」
あのヤロォ……
そう来るなら、こっちだって容赦しない。
「すみません、今夜出海のことお借りします。」
返答を待たず、出海の背中を追いかけた。
ずかずかと歩みより、出海の手を取る。
「――何だよ!?何すんだよ、離せ!」
俺の手を振り払おうと、躍起になる出海は無視して、友人の男に目を向ける。
「悪いけど、ちょっとコイツ貰うな。」
それだけ言い、出海の手を引いて歩き出す。
最初は抵抗していた出海も、途中から無抵抗になった。
向かったのは俺の住む部屋。