ワーキングガールズ・クリスマス
Episode2:保育士、弥生の場合
「せんせーばいばーい!」
「ばいばい健くんまたねー!!」
親に手をひかれ、子供達が次々と帰っていく。
最後の子供を門のところで見送ってから、あたしはホッと安堵の溜め息を吐いた。
「弥生先生、お疲れ様」
「あ、園長、お疲れ様です」
教室へ戻ろうと歩き出したら、外廊下であたしよりも年配の女性が、柔らかい笑みを浮かべて立っていた。
あたしは小走りで側へと駆け寄る。
「ごめんなさいね、こんな日までお仕事押し付けちゃって」
申し訳なさそうに眉を寄せて、園長はあたしの手を取った。
「まあ、こんなに荒れて……手荒れの時は言ってちょうだい、洗濯くらい私がするわ」
「いいえ!大丈夫ですよこれくらい!
園長こそお忙しいんですから、それくらいあたしがします」
握られたままの状態では顔の前で振ることもできず、顔だけ一生懸命に横に振り答える。
あたし、小川弥生はこの保育園で保育士として勤めている。
短大を卒業後すぐこの保育園へ就職し、今年で6年目だ。
あたしの手を撫でて泣きそうな顔をした園長は、実はかつてあたしがお世話になった先生である。
就職時、恩師がいつの間にか園長になっていて、心底驚いたのを今でも覚えている。
「今日はもうあがってちょうだい。
あとは私がやっておくわ」
「でも……」
「ばいばい健くんまたねー!!」
親に手をひかれ、子供達が次々と帰っていく。
最後の子供を門のところで見送ってから、あたしはホッと安堵の溜め息を吐いた。
「弥生先生、お疲れ様」
「あ、園長、お疲れ様です」
教室へ戻ろうと歩き出したら、外廊下であたしよりも年配の女性が、柔らかい笑みを浮かべて立っていた。
あたしは小走りで側へと駆け寄る。
「ごめんなさいね、こんな日までお仕事押し付けちゃって」
申し訳なさそうに眉を寄せて、園長はあたしの手を取った。
「まあ、こんなに荒れて……手荒れの時は言ってちょうだい、洗濯くらい私がするわ」
「いいえ!大丈夫ですよこれくらい!
園長こそお忙しいんですから、それくらいあたしがします」
握られたままの状態では顔の前で振ることもできず、顔だけ一生懸命に横に振り答える。
あたし、小川弥生はこの保育園で保育士として勤めている。
短大を卒業後すぐこの保育園へ就職し、今年で6年目だ。
あたしの手を撫でて泣きそうな顔をした園長は、実はかつてあたしがお世話になった先生である。
就職時、恩師がいつの間にか園長になっていて、心底驚いたのを今でも覚えている。
「今日はもうあがってちょうだい。
あとは私がやっておくわ」
「でも……」