ワーキングガールズ・クリスマス
下までスクロールするとそこに添付されていたのは。


例の上司と幸せそうに写った写真だった。


ーあ、プレゼントって。ー


どういうわけか、くっついたらしい。


今度根掘り葉掘り聞いてやろう。


ほくそ笑んで、あたしはまるで自分のことのように友人の報告を喜びながら電車を降りた。


ーピッ


ICカードをタッチして改札を出る。


「うわ!雪だあ!」


外に出るといつの間にか雪が降っていて、つい子供みたいに声を上げてしまった。


時間も忘れて雪に魅入る。


ーブー、ブー、ブー


手に落ちては溶ける雪を楽しんでいると、コートのポケットに入れていたスマホがまた唸った。


今度は長い、着信かもしれない。


かじかむ手を懸命に動かして取り出し、電話に出る。


「はいもしも『やよいせんせえっ!!』


ーえっ!?なにっ!?ー


あたしの言葉を最後まで聞かずに泣き叫んできたのは、子供の声。


切羽詰まったその声に、あたしは聞き覚えがあった。


「……千冬くん?」


『うん、せんせえ……せんせえ……』


やっぱりそうだ。


確認のために一度スマホを耳から外して画面を見る。


表示されている名前は山口千秋。


千秋さんの携帯からかかってきていた。


かなり動揺して泣きじゃくっているちいくんは、先生、先生と何度もうわ言のようにあたしを呼ぶ。

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