ワーキングガールズ・クリスマス
揺すってはいけない症状だとまずいので、肩だけ軽く叩く。


するとあたしの声に微かに反応を見せてう……と呻く声が聞こえる。


意識はありそうだ、呼吸もある。


そして額に手を当てて、あたしは驚いた。


「やだ、すごい熱……」


千秋さんの茶髪が濡れている、服装は部屋着、ちいくんがパジャマ。

ピンときた。


ーまさか、風邪ひいてるのにお風呂入った?ー


きっとそうだ、こんなに高熱で風呂なんか入ったらそりゃ倒れる。


そうと分かればもう大丈夫だ、あたしは大きな声を出して千秋さんを揺する。


「千秋さん!起きて下さい!
ベッドまで行きますよ!」


本当は病人、しかも好きな人を乱暴に扱うなんてしたくなかったが背に腹はかえられない。


何度か揺すり続けると、やがて千秋さんのまつ毛が震えて半分目があく。


「あ……弥生、さん……」


「千秋さん!大丈夫ですか?
こんなところじゃ余計具合悪くなりますからベッド行きましょう!」


熱のせいで潤んだ瞳であたしを見上げる千秋さんは、色気ムンムンだ。


おまけに髪が濡れてて水も滴る……じゃなくてっ!!


ふしだらなことを考える頭を慌てて振って、あたしは彼に話しかける。


「こんなに熱があるのにどうしてお風呂なんて入ったんですか!?
ちいくんだけ入れればいいのに!」


「だって、今日は……クリスマスの、パーティーするって……」



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