ワーキングガールズ・クリスマス
ブルーのベルベットの箱から指輪を取り出し薬指に嵌めると、見事にピッタリあたしの指にフィットしていた。


驚きに息も止まる。


だってあたし達、そもそも付き合ってもないのに。


さっぱり理解できないあたしに彼は言った。


「突然で驚くかもしれないけど、この一年俺はいつ言おうかタイミングを探してた。
もっと言えば、あなたがちいのクラスの担任になった時からずっとあなたと結婚したいと思ってた」


ちいくんの担任…って三年前から!?


「え、そ、それってどういう!?」


テンパるあたしの両手をそっと握り、千秋さんは上目遣いであたしを見る。


少し頬を赤く染めながら。


「……一目惚れしたんです、入園式で初めて会った時に」


嘘!!一目惚れって……


彼の照れがあたしにまで感染する。


顔が熱くなるのを抑えられず、穴があったら入りたい気分だった。


「笑顔が素敵で…もう心臓にガツンときて。
それから毎日ちいを朝送っていく時と夜迎えに行く時が楽しみで仕方なくて」


「そんな、あたしの笑った顔なんて大したことは……」


弱々しく反論すると、彼はブンブンと首を横に振る。


「いいえっ、弥生さんは俺達シングルファザーの女神的存在なんです!
いつでも笑顔で迎えてくれる、最高の笑顔を糧にして俺達は毎日仕事を頑張るんです!」


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