ワーキングガールズ・クリスマス
実は弥生さん、シングルファザー仲間の間でモテてるんですよ、知ってました!?と力強く言われてあたしは慄く。


そんなこと言われても!


だけどふと、寝しなに千秋さんがあたしの頬に触れながら呟いた言葉を思い出して、少し納得する。


「でも皆子供がいるし、中にはあまり若くない人もいたから、未婚の若い女性にアピールなんて出来ないんです。

優しくしてくれるのは仕事だからって可能性が高いし、何よりあなたを困らせたくなかった」


「……千秋さんも、そう思ってた人の一人だったんですか?」


情けなさそうな表情で彼は苦笑した。


そんな、仕事だとか困るとか。


「だからちいをあなたの家で預かってもらえると聞いた時にはガッツポーズしました、心の中で」


……なんだか申し訳なさを通り越して自分にイライラしてきた。


誤解させていることがもどかしくなってあたしは怒る。


「想いを寄せてもらって困るだなんてことありません!
誰かに好いてもらえることはとても嬉しいですよ!」


「……本当ですか?」


「そうですよ!
そりゃ、お、お付き合いするかどうかはあ、相手によるからなんとも言い難いんですけど。

あたしは仕事だから千秋さん達や子供さんに優しくしてるわけじゃありません!

皆があたしの笑顔で嬉しくなって下さることがその、その……」



< 32 / 37 >

この作品をシェア

pagetop