ワーキングガールズ・クリスマス
じゃ、じゃあほんとに?


今、私のお腹にまわっている腕も。
肩にのった頭、耳にかかる吐息も。


ーー彼なの?


そっと振り向いてみると、顔半分だけ蛍光灯の光を浴びた課長の顔が確かにあって。

息が止まりそうになった。


「ど、どうして……」


「お前が一人で会社にいるっていうから会いに来たんだ。
こうして、腕に抱きたくて」


な、なんてキザな台詞だ!!


顔が一瞬にして沸騰するかと思った。

たっぷりと色気を含んだその横顔に、私はクラクラ。

立っているのがやっとだった。


「んー……こっち向きのほうがいいな」


すると課長は、フラフラで茹でダコ状態の私の肩を掴んで、向かい合わせになるようにひっくり返した。


真正面に彼がいて、恥ずかしすぎて顔が上げられない。


今絶対、私の顔真っ赤だ。


なのに彼は私の腰を引き寄せて、身体を密着させてくる。


頭一つ分小さい位置にある私の肩に頭を載せて、囁いてくる。


「ふ…顔真っ赤、可愛い」


吐息が耳にかかって身体がびくりと反応した。


こんなに甘い彼、知らない。


俯いた私の顎にそっと手をかけて、岬課長が上向かせる。


「どうした、今日は大人しいな」


妖艶に微笑みながら。


ーそ、そんなの、あんたのせいに決まってんでしょー!?ー


……そう怒鳴ってやれたらどんなにいいか。


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