first kiss …parallel world.




愛ちゃんは息子の彼女だ。



中学後半に突入してから、反抗期なのかほとんど口を聞いてくれなかった未来だが

「こういうことはしっかりしたいから」と私たちにも紹介してくれたのだ。





父子家庭で育ったという点が事情持ちということを察せざるを得なかったが、反対する理由にはならない。

むしろ受け答えや佇まいがきちんとしていて、こちらからすれば好印象だった。




「なかなかしっかりした、感じのいい子じゃない。あんたよく掴まえたわね」



彼女が帰った後にそう言うと未来は片眉を上げた。


母親に茶化されるのは基本的に良しとしないのだ。
全く、可愛げがない。



「あれで、結構もろいよアイツ。寂しがりなくせに強がってばっか」





その一言で、未来がどれだけ愛ちゃんを大切にしているか分かった。









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