やくたたずの恋
「こちら! とれたて新鮮ピチピチなお嬢様です! 『純情そう』じゃなく、マジで『純情』です! 保証します! 味見して確認済みでございます!」
 味見、という言葉に反応して、雛子は恭平を睨む。だが恭平は気にせずに、通販番組さながらの言葉を繰り出していく。
「今ならなんとお試し価格として、一時間三万円でご提供! 送料も分割手数料も当社で負担します!」
「い、いや。それは別にいいけど……」
「何か不満なのか? なら今日は特別に、よく切れる包丁三点セットも付けてやるぞ」
「そうじゃなくて!」
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