やくたたずの恋
* * *
夜の道路を走る黒い車が、『Office Camellia』の事務所のあるマンションの前で停まる。パーティーが無事終了した後、雛子は敦也の車に送ってもらっていた。
雛子と共に車から降りた敦也は、握手を求めようと手を差し出した。
「今日はありがとう。楽しかったよ」
「私も楽しかったです!」
照れながら手を握り返し、雛子は一礼する。
「初めての仕事でしたけど、敦也さんのお陰で、緊張せずに済みました。ありがとうございます」