やくたたずの恋
敦也を乗せた車が去るのを見送り、雛子はマンションへと入る。
11階にある『Office Camellia』の事務所。そのチャイムを押すが、応答がない。ならば、と雛子は仕事に行く前に渡されていた合い鍵でドアを開け、部屋へと入った。
中は明かりが点いておらず、真っ暗だった。夜の世界が広がる外よりも暗い中を、壁を辿り、奥にある事務室のドアを探り当てる。
「ただ今、戻りました」
ドアを開け、雛子が部屋の中を覗き込む。黒ずんだ部屋の中で、窓際だけが、外の光のお陰でほんのりと青白くなっていた。
その中に、恭平の姿が見える。デスクの椅子に座り、うたた寝をしていた。
11階にある『Office Camellia』の事務所。そのチャイムを押すが、応答がない。ならば、と雛子は仕事に行く前に渡されていた合い鍵でドアを開け、部屋へと入った。
中は明かりが点いておらず、真っ暗だった。夜の世界が広がる外よりも暗い中を、壁を辿り、奥にある事務室のドアを探り当てる。
「ただ今、戻りました」
ドアを開け、雛子が部屋の中を覗き込む。黒ずんだ部屋の中で、窓際だけが、外の光のお陰でほんのりと青白くなっていた。
その中に、恭平の姿が見える。デスクの椅子に座り、うたた寝をしていた。