やくたたずの恋
「確かに私は、胸も小さいですし、悦子さんみたいに、大人の女じゃないです。でも、恭平さんの邪魔になるつもりはないです。好きになってほしいとか、そんなことも思ってないです」
 ……果たしてこれは、私の本当の気持ちなのかな?
 そんな疑問と煙草の煙に紛れて、雛子の言葉が歪に分解され、散らばっていく。
 結婚する相手は、好きな人がいい。結婚する相手には、自分を好きになってほしい。それはごく自然な、願いのはずなのに。自分は今、それをみすみす逃そうとしている。
 それが、「役立たず」から脱出できる手段なの?
 それで、私は幸せになれるの?
 その問いの答えは決まっている。「YES」だ。「YES」としか、答えてはいけない問いなのだから。
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