やくたたずの恋

　それに、恭平との結婚については、父の独断ではない。影山社長からの提案を受けてのもののはずだ。ならば父が借金を返さない限り、この結婚の話が消えることはないだろう。
　だからこそ、「好きな人と結婚する」ということが、雛子にとっては無理難題のように思えるのだ。ありきたりで、代わり映えのない結婚が、一番難しい。
　それでも、答えを見つけなくては。東大の入試問題にだって、答えはあるのだ。どんな難題にも、答えがないはずはない。
　お父様も影山のおじ様も、恭平さんも私も納得できる、結婚の方法ってあるのかな？
　しかも私が、「好きな人」と結婚するって前提で……。
　雛子はベッドに横たわったまま、何とかその難題の答えを導き出そうと、必死で考え続けていた。