やくたたずの恋
 車を発進させた後で、悦子は『Office Camellia』の今日の予約を口頭で確認し始める。
「今日は、ミサキちゃん、アユミちゃん、リサちゃんにフルタイムで予約が入ってるわね。18時からは、清水商事の懇親会へのコンパニオンとして10人。あと、沢田様からの予約が入ってるわよ。いつものように、『誰でも構わない』ですって。みんな嫌がるでしょうね」
「仕方ねぇよ。何だかんだ言っても上客だしな。この前はジュンだったし、その前はハルカだったか? で、その前は……」
「ナツミちゃんよ」
「そうか。じゃあ今日は……アイでいいんじゃねぇの? あいつ、今日はフリーだし」
「了解。アイちゃんを説得しておくわ。その代わり、時給を少しはずんでやってね」
「ああ」
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