やくたたずの恋
「……ってことは、あの子は必死なのよ。自分の結婚で、かなりの額の借金がチャラになるんでしょう? それならやっきにもなるってもんよ! 影山ちゃんだって、その辺は分かってるんじゃないの?」
自分が吐き出した白い煙の中で、恭平は黙りこくっていた。彼の遠い目は、かつての向こう岸にいた頃の、輝かしい時代を見ている。それは「お前の話には付き合いたくない」という、恭平の意思表示でもあった。
それならば、こちらとしては話し続けるのみ。悦子はあえて、恭平が一番聞きたくないであろうことを話す。
「あの子だけじゃなく、志帆さんだってそうだったんでしょう? なら、影山ちゃんが一番、あのヒヨコちゃんの気持ちを分かってあげるべきなんじゃないの?」
「……悪ぃ。着いたら教えてくれ。寝る」
恭平は煙草を灰皿に押しつけ、リクライニングさせたシートに倒れ込み、目を瞑ってしまった。
自分が吐き出した白い煙の中で、恭平は黙りこくっていた。彼の遠い目は、かつての向こう岸にいた頃の、輝かしい時代を見ている。それは「お前の話には付き合いたくない」という、恭平の意思表示でもあった。
それならば、こちらとしては話し続けるのみ。悦子はあえて、恭平が一番聞きたくないであろうことを話す。
「あの子だけじゃなく、志帆さんだってそうだったんでしょう? なら、影山ちゃんが一番、あのヒヨコちゃんの気持ちを分かってあげるべきなんじゃないの?」
「……悪ぃ。着いたら教えてくれ。寝る」
恭平は煙草を灰皿に押しつけ、リクライニングさせたシートに倒れ込み、目を瞑ってしまった。