やくたたずの恋
* * *
「私、まずは恭平さんを好きになれるよう、努力してみます!」
恭平の目の前で宣言する雛子の笑顔は、夏の太陽のような光を放っている。高校球児をジリジリと照らす、あの白く燃える太陽だ。
そんな炎天下では、ドラキュラは生きられない。いよいよ身を焦がされそうになった恭平は、めまいを覚えてしまう。
「好き嫌いなんて、努力でどーなるモンでもないだろうが……」
「いいえ、なりますよ! それに私、恭平さんを信じてますから!」
「俺の何を信じるって言うんだよ……」
「それは……秘密です」