やくたたずの恋

「そうね、お嬢ちゃん。人生って、意外性のカタマリですものね」
　悦子は一歩前に出て、雛子へと顔を近づけた。
「人生は何が起こるか分からないし、誰を好きになるかも分からないわ。もしかしたら、あなたが影山ちゃんを好きになるんじゃなくって、影山ちゃんがあなたのことを好きになる可能性もあるしねぇ」
「おー！　そうかそうか。そうだな。人生ってそんなもんだ！　上等じゃねぇか！」
　恭平は急に怒りを足に込め、前へと出す。早歩きで進めば、雛子は必死で後をついてくる。親鳥を追いかけるヒヨコのように、ピヨピヨと。