やくたたずの恋
 あり得ない。何の冗談だ。どんな極上な女を派遣しても、沢田は決して納得しなかったのに。
「お、お前、一体沢田様に何をしたんだ!? 魔法でもかけたのか? 貧乳マジックか?」
「な、何と言われましても……。お茶を淹れて、楽しくお話をしただけなんですけど……」
 顔を向ける恭平へと、雛子は戸惑いがちに微笑んだ。そんな彼女からは、あの春のオーラが溢れている。
 パステルカラーに彩られた、マシュマロに似た手触りの雰囲気。それに似合わない黒いものが一つ、ちょこんと見えたような気がした。
 それは彼女のヒップから生えた、小悪魔のしっぽだった。
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