やくたたずの恋
 柔らかそうな胸に、恭平の長い指がしなやかに食い込む。その指先が、いたずらっぽく胸の先端へと触れれば、たぷん、と音を立てそうな勢いで胸が弾んだ。そして恭介の手の動きに合わせて、何度も胸の形が変わっていった。
 いやらしい光景でありながらも、滑稽にも見える。雛子はなぜか、二人から目が離せなかった。
 ひとしきり胸を揉んだ後、恭平は悦子の後ろから顔を覗かせる。
「……と、いう訳で、帰ってもらえる? で、あのチビでデブでハゲな、三重苦の親父に言っておいてよ。『俺を色仕掛けでオトすつもりなら、こんな関東平野みたいな、平らな体のお嬢ちゃんじゃなく、メリハリのある体の女をよこせ』ってさ!」
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