やくたたずの恋

　ぐら、と雛子の足が揺れる。落ちた。とうとう崖に落ちてしまった。きゃー、と悲鳴を上げることもできず、助けを求めることもできず、雛子は絶望のどん底にスローモーションで落ちていく。
「おはよー！　影山ちゃん！」
　崖の底に雛子の体を叩きつけるように、女の声が背後から聞こえてきた。振り返ると、美しく着飾った女たちが、キャピキャピと音を鳴らすようにしてこちらへと向かって来ている。
「おー！　おはよう！　お前ら、今日もいい乳してんなー！」
　雛子を押しのけ、様々な香水の匂いをまき散らしながら、女たちが部屋へと入っていく。その一人一人の胸を、恭平は順番にむにゅむにゅと揉んでいた。