やくたたずの恋

「まずはお尻を触ってくるから、気をつけてよ！」
　出かける前に、『Office Camellia』の先輩であるルミがアドバイスしてくれたように、湯川はいきなり雛子のヒップへと手を伸ばしてきた。
　や、やっぱりセクハラキングだ……。
　雛子はフラダンスさながらに腰を振り、湯川の手をすんでの所でかわす。だが続けて、今度は雛子の胸へと手が進んできた。空中を泳ぐ湯川の指は、雛子のピンクのドレスの胸元へと潜り込もうとしている。
「で、お尻の後は胸よ！　軽ーく触るならまだいいんだけど、下手すると、鷲掴みにしてくるから！」
　まさにその通り。ルミのアドバイスは的確だったが、賞金が出る訳でもない。
　雛子の小さな胸を掴もうと、湯川は指を立てる。体を捩っても、あくどい手は雛子を追いかけてくる。胸元をガードする手を外され、押さえつけられてしまえば、もうどうしようもなかった。