やくたたずの恋
……やだやだ! 何なの、この人!
一人前の天ぷらは揚げられそうな皮脂を湛えた湯川の顔が、ニヤ、と笑う。つぶれた饅頭から、更にあんこを抉り出したような表情だ。それを視界から外したい一心で、雛子は目を瞑った。
どうして恭平さんは、初心者の私に、こんなお客様を当てたんだろう?
私を嫌いだから? それとも、「どんなお客様でも文句は言わない」って、私が言ったから?
胸に、ゾワ、とした感覚が走る。おそるおそる目を開ければ、湯川のウインナーのような指が、胸の上を這い始めていた。
きゃー! 嫌だあああああ!
地震、雷、火事、オヤジの匂い。この世の嫌なものを全て集めても、ここまでは嫌な気分にはならないだろう。
一人前の天ぷらは揚げられそうな皮脂を湛えた湯川の顔が、ニヤ、と笑う。つぶれた饅頭から、更にあんこを抉り出したような表情だ。それを視界から外したい一心で、雛子は目を瞑った。
どうして恭平さんは、初心者の私に、こんなお客様を当てたんだろう?
私を嫌いだから? それとも、「どんなお客様でも文句は言わない」って、私が言ったから?
胸に、ゾワ、とした感覚が走る。おそるおそる目を開ければ、湯川のウインナーのような指が、胸の上を這い始めていた。
きゃー! 嫌だあああああ!
地震、雷、火事、オヤジの匂い。この世の嫌なものを全て集めても、ここまでは嫌な気分にはならないだろう。