やくたたずの恋
 この日は、星野と2時間ほど話をして、雛子は部屋を出た。
「話が弾んだようね」
 リビングの入口で待っていた志帆に声を掛けられ、雛子はぺこりとお辞儀する。
「は、はい。お陰様で、何とかお話しすることができました」
「ではまた、3日後に来てちょうだいね。こういうのは、毎日顔を合わせるよりも、少し時間を置いた方が効果的だと思うから」
 薬を飲むタイミングを説明する、医者のような口振り。錠剤2種類、食後に飲んでくださいね。ではまた3日後にいらしてください。お大事に。
 薬ならば、病気を治すものとしての効果は分かる。だが、雛子が星野と話すことで、一体何の効果があるというのか。
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