やくたたずの恋
もしかして……こんな素敵な男性になら、恋をすることができるんじゃない?
雛子はその思いのまま、敦也を見つめ続ける。言動の全てにおいて嫌みがなく、ワイングラスを持つ指先の動きまでもがスマートだ。
なのに彼に対しては、雛子の心はうんともすんとも言わない。開店休業。「あと5分……むにゃむにゃ」などと言いながら、たっぷり二度寝をしてしまっている。
何でなんだろう……。私が恋をできない体質なのかなぁ?
雛子は前菜のヴァーポレの春野菜をナイフで切り、口に運ぶ。美味しいはずなのだが、どうも味がしない。香辛料の味ばかりが舌に触れ、青みがかった野菜の味は消え去っている。
敦也からの、今日の仕事の依頼は、このレストランのプレオープンに招待されたため、一緒に食事をする、というものだった。
雛子はその思いのまま、敦也を見つめ続ける。言動の全てにおいて嫌みがなく、ワイングラスを持つ指先の動きまでもがスマートだ。
なのに彼に対しては、雛子の心はうんともすんとも言わない。開店休業。「あと5分……むにゃむにゃ」などと言いながら、たっぷり二度寝をしてしまっている。
何でなんだろう……。私が恋をできない体質なのかなぁ?
雛子は前菜のヴァーポレの春野菜をナイフで切り、口に運ぶ。美味しいはずなのだが、どうも味がしない。香辛料の味ばかりが舌に触れ、青みがかった野菜の味は消え去っている。
敦也からの、今日の仕事の依頼は、このレストランのプレオープンに招待されたため、一緒に食事をする、というものだった。