やくたたずの恋
それは結局、志帆のためだった。遠いあの日の志帆を救いたい一心で、『Office Camellia』を作り上げた。
そして、多くの女性を救うことができたのは事実だ。だが、決して志帆が救われることはない。その絶望という名の現実は、時々恭平に襲いかかり、恭平を志帆の待つ地獄へと突き落としていく。
地獄でもがき苦しむことが、志帆への償いの証だった。だからこそ、彼女と一緒に地獄で沈んでいようと思っていたのに。
そんな恭平の前に、突然現れたのが、雛子だったのだ。
「だから、お前が来た時は焦ったよ。志帆とまるっきり同じだもんな。父親の借金のカタに、おっさんと結婚させられるってさ。親父も俺の痛いところ突くよなぁ。金を貸すことと、人の嫌がることをするのに関しては、天才的だよ、あのチビデブハゲは」
口角を上げて皮肉っぽく笑った後、恭平は急に落ち込みを見せた。それは、あの結婚写真の、志帆の表情に似ていた。
「志帆は、ずっと俺を恨んでる。駆け落ちするために待ち合わせたあの場所で、まだ俺を待っているんだ。裏切った俺と一緒に、地獄で落ち合うために。そして俺は、そんな志帆の意志に従うしかないと思ってる」
そして、多くの女性を救うことができたのは事実だ。だが、決して志帆が救われることはない。その絶望という名の現実は、時々恭平に襲いかかり、恭平を志帆の待つ地獄へと突き落としていく。
地獄でもがき苦しむことが、志帆への償いの証だった。だからこそ、彼女と一緒に地獄で沈んでいようと思っていたのに。
そんな恭平の前に、突然現れたのが、雛子だったのだ。
「だから、お前が来た時は焦ったよ。志帆とまるっきり同じだもんな。父親の借金のカタに、おっさんと結婚させられるってさ。親父も俺の痛いところ突くよなぁ。金を貸すことと、人の嫌がることをするのに関しては、天才的だよ、あのチビデブハゲは」
口角を上げて皮肉っぽく笑った後、恭平は急に落ち込みを見せた。それは、あの結婚写真の、志帆の表情に似ていた。
「志帆は、ずっと俺を恨んでる。駆け落ちするために待ち合わせたあの場所で、まだ俺を待っているんだ。裏切った俺と一緒に、地獄で落ち合うために。そして俺は、そんな志帆の意志に従うしかないと思ってる」