やくたたずの恋
何とかいい言い訳を探そうと、雛子は目を泳がせる。その必死な様子を見て、父は怒りと呆れを込め、大きなため息を漏らした。
「グズなお前のことだ。どうせ恭平くんを説得できなかったんだろう?」
「は、はい。申し訳ありません」
「全く……お前は、役立たずだな」
小さく舌打ちして、父は雛子から目を逸らす。この瞬間が、雛子は一番嫌いだった。まるで自分が、哀れな捨て猫のような気分になってしまうのだ。
飼い主から見捨てられ、雨も凌げず、びしょぬれになっている子猫。父という庇護がなければ、何もできない。自分はそんなそんなちっぽけな存在でしかないのだと、自覚してしまう。
「グズなお前のことだ。どうせ恭平くんを説得できなかったんだろう?」
「は、はい。申し訳ありません」
「全く……お前は、役立たずだな」
小さく舌打ちして、父は雛子から目を逸らす。この瞬間が、雛子は一番嫌いだった。まるで自分が、哀れな捨て猫のような気分になってしまうのだ。
飼い主から見捨てられ、雨も凌げず、びしょぬれになっている子猫。父という庇護がなければ、何もできない。自分はそんなそんなちっぽけな存在でしかないのだと、自覚してしまう。