やくたたずの恋
恭平にも、そんな彼女の気持ちは伝わっていた。だが、言い訳や補足を加えたくはない。急に重量が増した体を持て余し、恭平はデスクの端に腰掛けた。そして、さっきまで志帆へと向けていた視線を、床へと下す。
「お前がどうとかじゃなく……俺が、嫌なんだよ」
零れ落とすように吐き出した恭平の声が、雛子の耳に響く。
「あ、あの……恭平さんが嫌って、どういうことですか?」
雛子の素直な質問に、恭平はすぐには答えない。何度も口を開きかけては躊躇い、水を失った魚のように喘ぐ。
「……俺が、お前のことが、心配だってこと!」
やっと絞り出した言葉にも、雛子は納得しない。恭平の顔を覗き込み、小さく首を傾げる。
「私の何が、心配なんですか?」
「お前が、敦也と……いろいろあるんじゃないかって……」
「いろいろって、何です?」
……うぜぇ。これ以上訊くな! 察しろ、貧乳!
黙っていれば、雛子も諦め、話を切り上げるだろう。そんな期待を抱いていたが、雛子の瞳は恭平から離れない。恭平の返事を聞きたくて、丸い目を無垢な子供のようにキラキラさせている。
わざとだろ? 絶対にわざとだ。本当は俺の話なんて聞きたくないのに、俺を困らせようとしてるんだろ? 違うか?
「お前がどうとかじゃなく……俺が、嫌なんだよ」
零れ落とすように吐き出した恭平の声が、雛子の耳に響く。
「あ、あの……恭平さんが嫌って、どういうことですか?」
雛子の素直な質問に、恭平はすぐには答えない。何度も口を開きかけては躊躇い、水を失った魚のように喘ぐ。
「……俺が、お前のことが、心配だってこと!」
やっと絞り出した言葉にも、雛子は納得しない。恭平の顔を覗き込み、小さく首を傾げる。
「私の何が、心配なんですか?」
「お前が、敦也と……いろいろあるんじゃないかって……」
「いろいろって、何です?」
……うぜぇ。これ以上訊くな! 察しろ、貧乳!
黙っていれば、雛子も諦め、話を切り上げるだろう。そんな期待を抱いていたが、雛子の瞳は恭平から離れない。恭平の返事を聞きたくて、丸い目を無垢な子供のようにキラキラさせている。
わざとだろ? 絶対にわざとだ。本当は俺の話なんて聞きたくないのに、俺を困らせようとしてるんだろ? 違うか?