やくたたずの恋
胸を覆う彼女の手は、微かに震えていた。そこに、上体を屈めた恭平の唇が触れる。開けゴマ。呪文のように何度もキスを繰り返し、閉じた彼女の心と体を開こうとしていた。
「隠すなよ。綺麗なんだから」
なぜこんな時に、おっさんはこんなことを言うのか。「さっさと見せろよ! 減るもんじゃあるまいし! ……いや、減ったらマズいか。Aカップになっちまう」とか。いつものように、どうしようもないことを言ってくれればいいのに。それならこっちだって、「うるさい! エロおやじ!」と言い返して、笑い話にできるのに。
手の甲で蠢く、恭平の唇。上目遣いでこちらを見る、彼の顔。妙に真剣なその表情も、こんな時には冗談さえ言えない彼の真面目さも、大好きだった。
きっと……大丈夫だよね? 胸が小さいからって……嫌がられないよね?
どこかにいるであろう、貧乳の神様に祈りつつ、雛子はおずおずと手を離す。胸を晒した恥ずかしさで、雛子の耳は痛むほどに火照っていた。そこに、恭平の吐き出す息の音と、静かな囁きが宿る。
「綺麗だな。触れるのがもったいないぐらいだ」
うっ……うわああああー! そんなこと言わないでよ!
足をジタバタさせたい。この場から逃げ出したい。褒められているのに、くすぐったい。その上、照れくさい。
「隠すなよ。綺麗なんだから」
なぜこんな時に、おっさんはこんなことを言うのか。「さっさと見せろよ! 減るもんじゃあるまいし! ……いや、減ったらマズいか。Aカップになっちまう」とか。いつものように、どうしようもないことを言ってくれればいいのに。それならこっちだって、「うるさい! エロおやじ!」と言い返して、笑い話にできるのに。
手の甲で蠢く、恭平の唇。上目遣いでこちらを見る、彼の顔。妙に真剣なその表情も、こんな時には冗談さえ言えない彼の真面目さも、大好きだった。
きっと……大丈夫だよね? 胸が小さいからって……嫌がられないよね?
どこかにいるであろう、貧乳の神様に祈りつつ、雛子はおずおずと手を離す。胸を晒した恥ずかしさで、雛子の耳は痛むほどに火照っていた。そこに、恭平の吐き出す息の音と、静かな囁きが宿る。
「綺麗だな。触れるのがもったいないぐらいだ」
うっ……うわああああー! そんなこと言わないでよ!
足をジタバタさせたい。この場から逃げ出したい。褒められているのに、くすぐったい。その上、照れくさい。