やくたたずの恋
彼に愛されてこその自分だったはずだ。彼に視線を向けられることもない自分には、価値などない。がらくたと同じだ。皆に見放され、ただ一人で朽ちていく。
家に帰ってきてからずっと見せている、志帆の悲しみの色。雲をたなびかせた、夕方の空の淡さに近かったものが、深夜の漆黒の色へと変わってしまっている。
だが、そんな深夜にも夜明けは来る。星野はやがて朝日が昇るのを期待しながら、わざとらしく眉を顰めた。
「うーん……。どうやら君は、私のことを誤解しているようだね。私はずっと、君のことが好きなんだ。だからダンスだって、君とじゃなきゃ踊りたくはない」
星野はレコードを止めるべく、レコードプレーヤーの前へとやって来た。トーンアームを外すと、すぐさま志帆へと車椅子を回転させる。
「雛子ちゃんを見た時は、確かに若い頃の君に似ているとは思ったし、可愛い子だとも思った。だけど、それ以上に心は動かなかった。結局私は……君に心を掴まれたままなんだろうな。あの、12年前のOB会から、ずっと」
星野は右手で、左の胸に触れた。あのOB会でここに花を挿してもらった時、志帆によって心が楔を打たれてしまったのだ。彼女以外を愛してはならないと、自分で自分を縛りつけるために。
「だから、どんなに君が酷い人間であっても、どんなに残酷な人間であっても、私は君を嫌いにはなれない」
「でも、恭平は……今の私のことを、好きじゃないって……」
家に帰ってきてからずっと見せている、志帆の悲しみの色。雲をたなびかせた、夕方の空の淡さに近かったものが、深夜の漆黒の色へと変わってしまっている。
だが、そんな深夜にも夜明けは来る。星野はやがて朝日が昇るのを期待しながら、わざとらしく眉を顰めた。
「うーん……。どうやら君は、私のことを誤解しているようだね。私はずっと、君のことが好きなんだ。だからダンスだって、君とじゃなきゃ踊りたくはない」
星野はレコードを止めるべく、レコードプレーヤーの前へとやって来た。トーンアームを外すと、すぐさま志帆へと車椅子を回転させる。
「雛子ちゃんを見た時は、確かに若い頃の君に似ているとは思ったし、可愛い子だとも思った。だけど、それ以上に心は動かなかった。結局私は……君に心を掴まれたままなんだろうな。あの、12年前のOB会から、ずっと」
星野は右手で、左の胸に触れた。あのOB会でここに花を挿してもらった時、志帆によって心が楔を打たれてしまったのだ。彼女以外を愛してはならないと、自分で自分を縛りつけるために。
「だから、どんなに君が酷い人間であっても、どんなに残酷な人間であっても、私は君を嫌いにはなれない」
「でも、恭平は……今の私のことを、好きじゃないって……」