やくたたずの恋
ゴムのタイヤを何度もキュキュ、と鳴らし、志帆へと寄り添うように車椅子を停止させる。そして星野は、涙を床に落とし続ける志帆の頭にそっと触れた。
「そんな想いも含めて、私は君が好きなんだよ。恭平くんをずっと想い続けた君を、私は素晴らしいと思っている。一途な君を、誇らしく思っている」
星野に頭を撫でられ、志帆は顔を上げた。そこにはもう、満月の光のような美しさはない。満月だって、いつかは欠けてしまう。そして新月を迎えた後、再び満月となるべく、光を増していくのだから。
生まれたての子どものような、無垢な素顔を見せる志帆を、星野は愛おしいと思った。彼女はこうして、生まれ変わるのだ、と。
「私はいつまでも待つつもりなんだ。君が、かつての君のような笑顔を見せてくれるまで。そしてその笑顔を、私に向けてくれるまでね」
その星野の顔に、昔の恭平が見える。ずっと志帆を愛してくれた恭平。だからこそ、志帆も恭平を愛したのだ。彼と愛情を分かちあうことが嬉しくって、彼を好きだったのだ。
ならばきっと、愛せるのかも知れない。こうして愛情を向けてくれる、この人をも。
今すぐには無理でも、時間をかけてゆっくりと、穏やかな愛を育めるだろう。
志帆は震える手を伸ばし、頭の上にあった星野の手を取る。その手へと吸いつくように、涙で濡れる頬を寄せた。
「そんな想いも含めて、私は君が好きなんだよ。恭平くんをずっと想い続けた君を、私は素晴らしいと思っている。一途な君を、誇らしく思っている」
星野に頭を撫でられ、志帆は顔を上げた。そこにはもう、満月の光のような美しさはない。満月だって、いつかは欠けてしまう。そして新月を迎えた後、再び満月となるべく、光を増していくのだから。
生まれたての子どものような、無垢な素顔を見せる志帆を、星野は愛おしいと思った。彼女はこうして、生まれ変わるのだ、と。
「私はいつまでも待つつもりなんだ。君が、かつての君のような笑顔を見せてくれるまで。そしてその笑顔を、私に向けてくれるまでね」
その星野の顔に、昔の恭平が見える。ずっと志帆を愛してくれた恭平。だからこそ、志帆も恭平を愛したのだ。彼と愛情を分かちあうことが嬉しくって、彼を好きだったのだ。
ならばきっと、愛せるのかも知れない。こうして愛情を向けてくれる、この人をも。
今すぐには無理でも、時間をかけてゆっくりと、穏やかな愛を育めるだろう。
志帆は震える手を伸ばし、頭の上にあった星野の手を取る。その手へと吸いつくように、涙で濡れる頬を寄せた。