やくたたずの恋
「そうなんだ。社長に用があってきたんだけど、大した用じゃないから、安心して」
「社長とご面会というのであれば、アポは……」
「アポねぇ……。親子の間で、アポは要るかな?」
「え? あ、あの、親子って……」
さっきまで門番のような厳しさを見せていた女が、急に戸惑い始める。その表情を眺めながら、恭平は秘書課の奥にある、社長室へと進んでいく。
秘書課の女性たちが皆、通路を進む恭平へと驚きの顔を見せていた。C、D、上げ底のC、B、論外のA、垂れ気味のE。それぞれのバストサイズをチェックしながらも、大股でずかずかと歩き、目の前に現れた社長室のドアをノックもせずに開けた。
いきなり開いたドアの先へと、応接セットに腰掛けていた男二人が顔を向ける。一人は12年ぶりに見るチビデブハゲの男、もう一人は、父の腹心の部下である水野だ。
「ぼ、ぼっちゃん!?」
最初に反応したのは、水野の方だった。12年前は黒かった髪が、すっかり白髪交じりになっている。だが、優しげな目元の雰囲気は変わっていない。
「水野さん、久しぶりだね。元気だった?」
「は、はい……」
水野の戸惑いの声を背に、恭平は右側のソファにいる、球体のような男へと向かって歩いていく。その球の目鼻がついている方向に立ち止まると、視線を下した。それに合わせるように、球体の男は小さな目をぎょろりとさせて、ふん、と鼻を鳴らした。
「……何だ、お前か。久々に帰ってきたかと思えば、挨拶もねぇのか。このバカ息子!」
「そのバカ息子の父親はどいつだよ」
「社長とご面会というのであれば、アポは……」
「アポねぇ……。親子の間で、アポは要るかな?」
「え? あ、あの、親子って……」
さっきまで門番のような厳しさを見せていた女が、急に戸惑い始める。その表情を眺めながら、恭平は秘書課の奥にある、社長室へと進んでいく。
秘書課の女性たちが皆、通路を進む恭平へと驚きの顔を見せていた。C、D、上げ底のC、B、論外のA、垂れ気味のE。それぞれのバストサイズをチェックしながらも、大股でずかずかと歩き、目の前に現れた社長室のドアをノックもせずに開けた。
いきなり開いたドアの先へと、応接セットに腰掛けていた男二人が顔を向ける。一人は12年ぶりに見るチビデブハゲの男、もう一人は、父の腹心の部下である水野だ。
「ぼ、ぼっちゃん!?」
最初に反応したのは、水野の方だった。12年前は黒かった髪が、すっかり白髪交じりになっている。だが、優しげな目元の雰囲気は変わっていない。
「水野さん、久しぶりだね。元気だった?」
「は、はい……」
水野の戸惑いの声を背に、恭平は右側のソファにいる、球体のような男へと向かって歩いていく。その球の目鼻がついている方向に立ち止まると、視線を下した。それに合わせるように、球体の男は小さな目をぎょろりとさせて、ふん、と鼻を鳴らした。
「……何だ、お前か。久々に帰ってきたかと思えば、挨拶もねぇのか。このバカ息子!」
「そのバカ息子の父親はどいつだよ」