やくたたずの恋
――家業を嫌うだけ嫌って、何の行動も起こさず、死んだフリをしているようなお前には、雛子ちゃんはもったいないよ――
全くその通りだ。お前は正しいよ、敦也。
敦也の言葉に応えながら、恭平は自分に問い掛ける。
じゃあ、お前はどうする? このままただの「おっさん」で居続けるのか。それとも、雛子にふさわしい男となるべく、影山の息子に戻るのか。
「……だったら、そんなやり方、止めちまえよ」
恭平は窓に視線を向けたまま、はっきりとした声を上げた。それはただの言葉というよりも、宣誓に近い。父に対してでもあり、自分に対してでもある誓いだ。
「俺だったら、もっとクリーンで効率のいい、貸金の仕組みを作り上げる。今時、ダッセぇんだよ。債務者に痛い目に遭わせてまで、借金を返させるってのが」
「へぇ……。お前には、この会社の経営方針を一新できるってのか?」
「できるね。絶対にできる」
「随分な自信じゃねぇか」
影山社長はゆっくりと立ち上がり、恭平の前に立った。長身の恭平へと背伸びをして、その目の奥の覚悟を確認する。
「つまりそれは……俺の跡を、お前が継ぐってことだぞ。分かってんのか?」
「ああ。分かってるよ」
言ってしまった。一瞬そう思ったが、後悔はない。その先が茨の道でも、傍に雛子がいてくれれば、薔薇の咲き誇るメインストリートに変わるだろう。
全くその通りだ。お前は正しいよ、敦也。
敦也の言葉に応えながら、恭平は自分に問い掛ける。
じゃあ、お前はどうする? このままただの「おっさん」で居続けるのか。それとも、雛子にふさわしい男となるべく、影山の息子に戻るのか。
「……だったら、そんなやり方、止めちまえよ」
恭平は窓に視線を向けたまま、はっきりとした声を上げた。それはただの言葉というよりも、宣誓に近い。父に対してでもあり、自分に対してでもある誓いだ。
「俺だったら、もっとクリーンで効率のいい、貸金の仕組みを作り上げる。今時、ダッセぇんだよ。債務者に痛い目に遭わせてまで、借金を返させるってのが」
「へぇ……。お前には、この会社の経営方針を一新できるってのか?」
「できるね。絶対にできる」
「随分な自信じゃねぇか」
影山社長はゆっくりと立ち上がり、恭平の前に立った。長身の恭平へと背伸びをして、その目の奥の覚悟を確認する。
「つまりそれは……俺の跡を、お前が継ぐってことだぞ。分かってんのか?」
「ああ。分かってるよ」
言ってしまった。一瞬そう思ったが、後悔はない。その先が茨の道でも、傍に雛子がいてくれれば、薔薇の咲き誇るメインストリートに変わるだろう。