やくたたずの恋
「うちにいる、とびきりのいい女たちと一緒に過ごす。その時間の用途は、『お気に召すまま』だ。仮の恋人同士としてデートをするなり、偽のパートナーとして一緒にパーティに出るなり、どうぞご自由に。だが、性行為、及びそれに類するものはNG。御法度だ」
「あ、あの! でも!」
 雛子は前のめりになり、恭平の言葉を食い止める。
「そんな高いお金を出して、女性をレンタルする人っているんですか?」
 それは、にわかには信じられない話だった。
 昨日ここで見た女たちは、確かにみんな美しく、男ならば恋人にしたくなるようなタイプばかりだった。それは本当だ。
 だからといって、女たちと過ごすためだけに、多額の金を払うものだろうか? それこそ、恭平が「御法度」だと言った、性行為などのサービスもないというのに。
 雛子のそんな気持ちを見抜いてか、恭平は煙草を指でつまみ、ニヤ、と笑う。
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