やくたたずの恋
 咄嗟に口を手で押さえた雛子は、ソファから降りようともがく。だが、恭平の両足で挟み込まれたまま、体が動こうとしない。
 は、早く。早く逃げなくちゃ!
 焦る雛子へと、恭平の顔が下りてくる。
「貧乳だが、感度はいいな」
 細い眉を上げ、ふん、と恭平は満足げに笑う。
 笑うな! スケベおやじ!
 反論できない代わりに、雛子が涙目で睨む。だが、その視線には何の効き目もなかった。次の瞬間には、恭平が雛子の唇に吸いついていたのだ。
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