やくたたずの恋
「こっ、この貧乳女……何するんだよ!」
「それは、こっちのセリフです!」
 床に敷かれたカーペットの毛足を掴み、雛子は叫ぶ。震える体を支えるように、テーブルに寄りかかった。
「こんなの……味見に決まってんだろ?」
 恭平はポケットからライターを取り出し、その鏡面で噛まれた舌先を確認する。彼のその態度には、悪びれている様子はない。
「自分で作った料理を、味見しないで客に出すコックがいるか? 俺が選んだ女たちは、みんな俺が味見した上で、客に出してんだよ!」
 ……酷い。
 雛子はただ一言、そう思った。
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