やくたたずの恋
「でも何か、うちの子っぽくないね」
「でも、意外とウケるんじゃない? お嬢様っぽい子を好む人も多いし」
 女たちは興味津々な様子で、雛子をじろじろと見ていた。
「……あんた、何で泣いてるの?」
 女たちの後から入ってきた悦子が、雛子を見て声を上げる。
 悦子の言葉通り、雛子の目には、飽和状態の涙が浮かんでいる。瞬きをすれば、それが零れ、赤らんだ頬を伝っていた。
 悦子は集まった女たちをすり抜け、雛子へと駆け寄った。
「どうしたのよ? 何かあったの?」
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