やくたたずの恋
 大人っぽいフローラルの香り。そして、マシュマロのようなふわん、とした感触の悦子の胸が、雛子の心を優しく撫でていく。
 ……ああ、確かに巨乳っていいかも。私の胸じゃあ、こうはいかないもの。
 雛子は自分のBカップに思いを馳せながら、話しだそうと喉を絞った。
「恭平さんが、味見って言って……私の胸を触って……キスを……」
 雛子を抱きかかえた悦子は、咄嗟に顔を上げ、デスクにいる恭平へと目を遣る。何のことやら。恭平はそんな感じで肩を竦め、咥えた煙草に火を点けていた。
 舌打ちしたい気分を堪えながら、悦子は雛子の背中を撫でる。
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