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私が話してる間、少年は何も言わずただ頭を撫でていてくれた。

そして話し終わると、こう言った。

「そんな彼氏、別れれてよかったやんッ!
姉ちゃんにはもっとええ男がいっぱいおるって!」

必死で言う彼の気持ちが優しくて、私は胸がすっと軽くなった。

ふと彼が携帯を見た。

「やっべ…時間やばいわッ!
俺もう行くなあ!」

そう言って彼は立ち上がる。

「あ…ッ」

「ほいッ」

何も言えない私に彼は一枚の紙切れを渡した。

「ほな、またなッ!」

そう言って少年は走り去った。

その背中を見つめ、私も立ち上がった。
ずっとしゃがんでいたから、ふくらはぎが赤くなっている。

なんだか、嘘みたいに心が軽い。
彼がいてくれたから?

ふと、紙切れに目をやる。


『北原 陵 090-...』

きたはらりょう。
彼は、どんな人なんだろう?
どこの高校?
彼女いるの?

その答えを知るのはもう少し後になる。

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