ラヴィ~四神神葬~
3節
「入って」
卓也の招きに従って、二人は室内に入った。
「あ、私が閉めますね」
花束を二つ抱えている卓也を気遣ってドアを閉めた紫乃は、首を傾げた。
「あれ?卓也先輩、変なところをケガしたんですね。確か、りんご切っていてケガしたんですよね」
一瞬の沈黙。
室内の空気が瞬間冷却されたことに、紫乃は気付かない。
―彼の左手首には、白い包帯が巻かれている。
このことが暗に指し示す意味に気が付かないばかりか、「りんごを切ってケガをした」と本気で思っている彼女は、相当の天然だ。
「あー!刃物持てば、ケガくらい誰だってするだろ。そんなことよりも卓也、勝手にテレビつけるぞ」
「あ、うん・・・」
鉛の静寂を破って、総司が机上のリモコンを取った。白い病室にニュースを読み上げるアナウンサーの声が流れ出す。
「アーッ!」
またもや紫乃だ。今度は一体、何なんだ。ようやくこの場をまとめた矢先に。
卓也の招きに従って、二人は室内に入った。
「あ、私が閉めますね」
花束を二つ抱えている卓也を気遣ってドアを閉めた紫乃は、首を傾げた。
「あれ?卓也先輩、変なところをケガしたんですね。確か、りんご切っていてケガしたんですよね」
一瞬の沈黙。
室内の空気が瞬間冷却されたことに、紫乃は気付かない。
―彼の左手首には、白い包帯が巻かれている。
このことが暗に指し示す意味に気が付かないばかりか、「りんごを切ってケガをした」と本気で思っている彼女は、相当の天然だ。
「あー!刃物持てば、ケガくらい誰だってするだろ。そんなことよりも卓也、勝手にテレビつけるぞ」
「あ、うん・・・」
鉛の静寂を破って、総司が机上のリモコンを取った。白い病室にニュースを読み上げるアナウンサーの声が流れ出す。
「アーッ!」
またもや紫乃だ。今度は一体、何なんだ。ようやくこの場をまとめた矢先に。