ラヴィ~四神神葬~
―金髪という容姿。
(間違いない。俺達を廃棟に閉じ込めた術者=卓也をさらった人物だ)
その人物は雅樹もよく知っている。
そして、以上の事柄から導き出される結論は―
「卓也は戻らないな」
病院に戻らないのは無論。自宅に戻った可能性もゼロに等しい。
―卓也が戻ってこないんだから、やっぱりこのりんごは食ってもいいんじゃねぇか。
と付け加えた雅樹の一言が、紫乃を突き落とす。
紫乃、最撃沈。
今度こそ、彼女は二度と立ち上がれまい。
(「金髪の子」というのは、エレベーターの前で会ったあの少年のことだ)
総司も覚えている。
目立つ風貌であったことはもちろんだが、彼は《能力者》特有のただならぬ気配を持っていた。
退院というのも卓也を連れ去るために、少年が使った暗示の術だろう。
現に紫乃は、卓也が見知らぬ少年に拉致されたというのに、全く怪しんでいない。
それにしても表向き、卓也と一緒に退院したのが『少年』だったことは、紫乃しか知り得ない情報だったというのに、こんな形でバラすことになろうとは。
しかも無情なこの現実に彼女自身、何も気付いていない。
(かわいそうだから黙ってよう)
心の中で合掌。
(間違いない。俺達を廃棟に閉じ込めた術者=卓也をさらった人物だ)
その人物は雅樹もよく知っている。
そして、以上の事柄から導き出される結論は―
「卓也は戻らないな」
病院に戻らないのは無論。自宅に戻った可能性もゼロに等しい。
―卓也が戻ってこないんだから、やっぱりこのりんごは食ってもいいんじゃねぇか。
と付け加えた雅樹の一言が、紫乃を突き落とす。
紫乃、最撃沈。
今度こそ、彼女は二度と立ち上がれまい。
(「金髪の子」というのは、エレベーターの前で会ったあの少年のことだ)
総司も覚えている。
目立つ風貌であったことはもちろんだが、彼は《能力者》特有のただならぬ気配を持っていた。
退院というのも卓也を連れ去るために、少年が使った暗示の術だろう。
現に紫乃は、卓也が見知らぬ少年に拉致されたというのに、全く怪しんでいない。
それにしても表向き、卓也と一緒に退院したのが『少年』だったことは、紫乃しか知り得ない情報だったというのに、こんな形でバラすことになろうとは。
しかも無情なこの現実に彼女自身、何も気付いていない。
(かわいそうだから黙ってよう)
心の中で合掌。