ラヴィ~四神神葬~
「・・・お前は大事なことを忘れていないか」
と、静かに真が立ち上がる。
ピチャリ。
まただ。赤い血が今度は空に跳ねた。
刹那、ふわりと拳が重力を失った。
拳だけじゃない。
四肢が重力に反して浮き上がるような違和感に包まれる。
(風だ)
体が宙に持ち上がった―次の瞬間、渦巻く気流が総司を吹っ飛ばした。
高く、鮮血が空へ舞う。
・・・そう、これまでの血はみな、総司の腕から滴っていたものだ。攻撃する度に彼の拳は傷ついた。
(オレの気流は攻防一体だ)
己の身を守る盾であり、敵を切り裂く剣である。
物理攻撃で気流は粉砕できない。気流の刃に生身の拳で立ち向かえば、自らが傷つく。
それは分かっていたはず。総司自身・・・
(なのに、なぜ。お前は攻撃し続ける?)
否。
理由はどうでもいい。
これは戦いだ。
(戦闘なら戦闘らしく、何であろうと目の前の敵を打倒するのみ)
再度、真が気流装甲を両腕にまとう。
「オレは気流の鎧を身に着けている。お前が《力》を使わないなら、オレもまた、両腕の気流装甲は解かない。《力》を使わなければ、お前はただの人間だ。生身の人間が能力者に勝てるわけない」
「・・・だから、どうした」
両腕は気流に切り裂かれてズタズタだ。
真に気流の鎧がある限り、総司の拳は彼に届かない。
天に飛んだ血のしぶきが時間を置いて、卓也の額にぽたりと落ちた。
残る気流の柱は三本。
再び気流弾が放たれれば、卓也を取り囲む三本の柱に攻撃に耐え得る余力はもうないだろう。
だが総司が《雪》を使わぬ限り、真は気流弾を撃たない。
いや、撃てない。
気流に気流をぶつければ相殺し、消滅する。だから気流弾には、総司の《雪》を相乗する必要があるのだ。
(気流弾は封じた)
あとは気流装甲をかいくぐって、真に攻撃を当てれば・・・道は開ける。
もう少しだ。
(もう少しで、卓也を救い出せる)
紅き血汐の滴る拳を振りかざした。
と、静かに真が立ち上がる。
ピチャリ。
まただ。赤い血が今度は空に跳ねた。
刹那、ふわりと拳が重力を失った。
拳だけじゃない。
四肢が重力に反して浮き上がるような違和感に包まれる。
(風だ)
体が宙に持ち上がった―次の瞬間、渦巻く気流が総司を吹っ飛ばした。
高く、鮮血が空へ舞う。
・・・そう、これまでの血はみな、総司の腕から滴っていたものだ。攻撃する度に彼の拳は傷ついた。
(オレの気流は攻防一体だ)
己の身を守る盾であり、敵を切り裂く剣である。
物理攻撃で気流は粉砕できない。気流の刃に生身の拳で立ち向かえば、自らが傷つく。
それは分かっていたはず。総司自身・・・
(なのに、なぜ。お前は攻撃し続ける?)
否。
理由はどうでもいい。
これは戦いだ。
(戦闘なら戦闘らしく、何であろうと目の前の敵を打倒するのみ)
再度、真が気流装甲を両腕にまとう。
「オレは気流の鎧を身に着けている。お前が《力》を使わないなら、オレもまた、両腕の気流装甲は解かない。《力》を使わなければ、お前はただの人間だ。生身の人間が能力者に勝てるわけない」
「・・・だから、どうした」
両腕は気流に切り裂かれてズタズタだ。
真に気流の鎧がある限り、総司の拳は彼に届かない。
天に飛んだ血のしぶきが時間を置いて、卓也の額にぽたりと落ちた。
残る気流の柱は三本。
再び気流弾が放たれれば、卓也を取り囲む三本の柱に攻撃に耐え得る余力はもうないだろう。
だが総司が《雪》を使わぬ限り、真は気流弾を撃たない。
いや、撃てない。
気流に気流をぶつければ相殺し、消滅する。だから気流弾には、総司の《雪》を相乗する必要があるのだ。
(気流弾は封じた)
あとは気流装甲をかいくぐって、真に攻撃を当てれば・・・道は開ける。
もう少しだ。
(もう少しで、卓也を救い出せる)
紅き血汐の滴る拳を振りかざした。