恋が始まるいっぽ前!


「本当…、勘弁して欲しいわ。」

そう、呟きながら…、

あの日訪れた職員室。

待っていたのは…不機嫌そうな、あなた。



「お前、よくあんなに爆睡できたもんだな。そんなに退屈か?」


「………。いいえ。眠たかったから寝ただけです。」


「………。勉強のし過ぎじゃねーの。…いや、数学の成績だけ見ればそれはナイか。頭いーくせに、何だかなぁ……。」




「………。話はそれだけですか?」

売り言葉に、買い言葉…。



今更そんなの聞かされたって……、堪える訳もない。


「………お前の担任、嘆いてたぞ。三船だけ懐かないって。」


……そうでしょうとも。
馴れ合う気持ちなど…毛頭にない。



「…まあ別に、俺は懐かれなくても困ることはないけど……。」

いくら生徒に人気があるからって…露骨だ。
結局、他の教師と…代わり映えしない。

誰にでも平等に対応してるフリして。

腹の底では、ひいきやえこひいきを繰り返しているのね。


なんて腹黒い…。



「……でも。……はい、コレ。」


「………はい?」


ニシハルは…、私に、何かを手渡してきた。


「……?」


……お菓子?


…って、コレ……



Ca入りウエハースとな?!
(バニラ味…)



………し、失礼な!!


「……こんなの、いりません。」


「あ?」


突き返す私に、イラッとした顔のニシハル。


「馬鹿にしてるんですか。」


「……はあ?」


「苛立っているように見えますか?これが普通なのに……。」


「……。確かにあんまり表情ねーもんな、お前は。いっつも眉吊り上げて…、緊張した顔してる。」


「………。」


え……。
緊張……?


「…まあ、そんなに身構えるなって。誰もお前が嫌いとかそういんじゃねーんだから。近寄り難いオーラ放ってるってだけで。」


「………。」


「でも…、ちゃんと知ってるよ。…お前、友達は沢山いるのな?この前、アイドルのモノマネしてクラスの奴らめっちゃ笑わせてたろ?偶然見ちゃったけど、あれはかなりの傑作だったなあ。それに、野郎共からも人気あるだろ~?なのに、だ。対教師になると一変。何だかな、このギャップは。」




まさかの…衝撃だった。
あのモノマネを…見られてたとは…!
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