恋が始まるいっぽ前!
蔦や、紅葉の葉っぱのように……、頬を真っ赤に染めた親友は…。

ここのところ、ずっと、窓の外を…見つめている。

その元凶は。グラウウンドを駆ける…あの人。

昼休み…、生徒たちに紛れて。

サッカーをしている…ニシハルだ。



何処がそんなにいいのか、と尋ねるけれど。

その、気持ちは…私には理解し難いものだった。

そんな私に、莉奈ちゃんは…鋭い指摘を返してきた。

私の数学のノート。

そこに描いていたのは…


ニシハルの姿。


「ぶっちゃけてしまうけれど。あの人の容姿は…私の理想なの。特に…、顔と体が。」


カミングアウトするものの、


「…それ以上も以下もない。絵のモデルには最適。けど中身があれじゃあね。理想と現実って伴わないものなのね…。」


これが…、現状。



ニシハルに恋人がいるのか、気になる彼女に、
聞けばいいだなんて容易く言ったら…。


「………。いっぽ。アンタは恋したことないから解らないかもしれないけどね…、『いる』なんて言われたら速攻失恋なわけ。ましてやそんな質問…、まるで私がニシハルに気がありますって半分言ってるみたいでしょ?無理だよ、私には。」


溜め息は、更に深くなってしまった。



これには……私も、切なくなって。



「……私に……任せておくんな。」


「………?!」



「必ずや莉奈ちゃんのその心のモヤモヤを…晴らしてみせます。」



一発奮起!!


親友の…恋のために。いざ、ニシハルの調査へと…身を乗り出したのだった。
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