恋が始まるいっぽ前!
明くる日日の…
昼休み。
校庭を駆ける男子生徒に紛れて…、爽やかな笑顔を振り撒く男・ニシハル…。
「…ちょっと休憩ッ。現役には敵わねーわ。」
そう言って。
芝生の上に腰を降ろす彼に…。
一歩、一歩…
歩み寄る!
途端に…、
「仁志センセー、サッカー超うまいじゃん!」
わらわらと集まってくる女子生徒達。
私はアンテナを張って…
ニシハルとその女の子達の会話に聞き耳を立てる。
「若かりし頃は一応サッカー部だったから。」
「マジ?どーりでサマになってると思った!」
ふむふむ…。
「…ニシハルは元サッカー部……っと。」
手にしたノートに…。
サラサラと字を連ねる。
その表紙には、『ニシハルノート』と、筆ペンで記した……達筆文字。
「センセー、私のタオル貸してあげる。」
「……サンキュ。てか、汗臭くなるけど?」
「……いーのいーの!できればそのまま返してね。」
「…………。」
…お。
今のは、完全に引いたわね。
それにしても…。汗を拭うその姿、…ヤバい、ヤバすぎるわ…。(ウットリ)
「…『過度なアピールは苦手』?なんだそりゃ。」
忙しくボールペンを走らせているその背後から…
「……ぎゃっ?!」
ニシハル…登場!
慌ててノートを閉じようとするけれど…
彼の手が、それを阻む。
ってか、顔…近いっ…!
妙な油汗が…、じんわりと額に浮かぶ。
「………。おっと。お前、過度なアピールは苦手なんだもんな?」
あわあわしている私に気づいて、彼は少しだけその距離を図った。